Carl Schmitt

蔭山宏先生から,最新の著書『カール・シュミット---ナチスと例外状況の政治学』をご恵贈いただいた。カール・シュミットと刑法学の接点は,彼の博士論文が刑法学のテーマ(責任本質論)に関するものであったことだけではない(ちなみに,刑法学の内部では,…

First Love

2007年4月14日 昨年から、ある弁護士会の綱紀委員会の外部委員をしている。簡単にいうと、弁護士に対する懲戒請求のあった事例につき、懲戒委員会に付すべき事例かどうかを審査するのである。それなりに責任がともなうことは事実であるが、別に意見を述べる…

Silver Rain

2007年5月9日 テレビはほとんど見ないが、(音楽関係と)ボクシングは別。ボクシングと,当時ペルージャの中田選手のために、WOWOWに加入したということもあり、月曜日の午後8時からはじっくり観賞する。ただ、自分のひいきのボクサーが強敵と戦うというと…

National unabhängige Strafrechtswissenschaft

2007年4月23日 私は形容詞のついた法律学が嫌いだ。うちの大学では「慶應民法学」とか「慶應商法学」とかそういう言葉を好んで語る人がいる。でも、私には「慶應刑法学」なんて言葉は口が腐っても言えない。法科大学院の紀要に「慶應法学」という名称が付け…

Thorn Tree in the Garden

2007年4月19日 明日(というかもう今日)は、警察大学校の特別捜査幹部研修所ということで過失犯の講義をする。このところ、年に2度ほど招かれる。場所は飛田給なので、家からとても近い。雰囲気は大学とは大違いで、日の丸の旗が掲げられている教室に入っ…

Smile Away

2007年4月20日 弘文堂の新論点講義シリーズの一冊として書いた『刑法各論』の見本ができて、弘文堂の北川陽子さんが届けてくれる。実質的には、かつての論点講義シリーズのものの改訂版であり、春休みにやった仕事の1つということだ。 年をとった証拠なのだ…

Fixing A Hole

2007年4月21日 ドイツの便所の話をしよう。 ドイツの便所には顕著な特色がある。1つは、公衆トイレには、たいていコンドームの自動販売機があること。誰かが排泄物の処理という点では変わらないからといっていた。なるほど。もう1つは、大便用の個室(他に…

Stairway to Heaven

2007年4月27日(2020年1月19日補充) 団藤重光先生の刑法綱要総論の索引を見ると,「客観・・・」が「か」のところに入れられている。恩師,中谷瑾子先生が,いつも「客観的」を「かっかんてき」と発音されていたことを思い出す。 学生時代,ある本の索引で…

So What

2007年5月1日 小川隆夫氏の『マイルス・デイヴィスの真実』を読みながら、以前のCDを聴く。昔から、「カインド・オブ・ブルー」と「1958マイルス」の音の感じが、それ以前と、またそれ以後と比べても非常に違うという感覚があった。小川氏の本を読んで、…

One More Cup of Coffee

2007年5月5日 論文集『変革の時代における理論刑法学』の校正を終え(といっても初校)、1万字の著者解題を書き、調子に乗って「はしがき」まで書き終えて、慶應義塾大学出版会の岡田智武さんに送付した。表紙のデザインにも凝ってくれているので、きっと素…

Nobody Knows You When You're Down and Out

2007年6月6日 ドイツでは4月(ないし5月)からはじまるセメスターを夏学期という。私の勤務先では、これを春学期と呼ぶ。最初は「春学期」という命名に感心したものだが、やはりどう考えても夏学期と呼ぶのが実態にあっている。ドイツ以上に夏学期というべ…

One After 909

2006年12月1日 名曲・名演というわけでもないが、何度も何度も聴いてしまう曲がビートルズのOne After 909である。初期の曲でボツになったのを(歌詞の内容もたんなる語呂合わせに過ぎないように思える)解散間近のときに演奏したものということらしい。それ…

Ich will verstehen

2010年10月9日 *以下の文章は,ある高校の依頼に応じて,高校生のための「読書のすすめ」として書いたものである。 なぜ読書をするか。私は,そう聞かれたら,ハンナ・アレントの言葉を借りて「わかるようになりたい(Ich will verstehen)から」と答えるで…

Smoke Gets In Your Eyes

2008年2月20日 今は,スイスのバーゼルにいる。昨日,この大学のスタッフセミナーで「法発見の方法---刑法の場合」というテーマで講演させていただき,夜には,講演にも来てくれた,定年教授・シュトラーテンヴェルト氏らと一緒に食事をした。シュトラーテン…

Ich weiß, auch die schönste Zeit geht irgendwann vorbei.

2008年2月21日 昨日は,バーゼル滞在における空白の一日。もともとベルンにグンター・アルツト氏を訪ねるためにとっておいたのだが,少し前から何度か電話しても不在のまま。噂では学問の世界からは完全に身を引いているということだし,また旅行が好きだか…

With A Song In My Heart

2009年3月19日 数か月にわたり日記を書いていないが,相変わらずの毎日を相変わらずの態様で過ごしている。小さな仕事は無数に存在しており気が重くなるが,適当な時期に準備を開始し,直前の日々を適度に頑張れば,うまくか,あるいはまずくか,いずれにせ…

Please Don't Betray Me

2007年7月4日 多方面への怒りを感じることのみ多い今日この頃であるが、恩師の宮澤浩一先生であれば、「裏切らないのは、学問だけだよ」とか、おっしゃることであろう。 その宮澤先生に捧げる『変革の時代における理論刑法学』が出来上がってきて、ちょっと…

Alone

2007年10月3日 日曜日から昨日まで、韓国の清州市に行っていた。清州大学校法学部の趙君(Cyo Byung-Sun)と懇意なのだが、来年の秋にお互いの大学間で協力して共同シンポをやろうという話から、手始めに小さな講演会をやりたいから来てくれということになっ…

But Beautiful

2020年1月10日 お正月のメリットはただ1つ,ほとんど邪魔されずに机に向かえること。デメリットは,運動不足で便秘気味になることを別にすれば(失礼!),人と話す機会が激減するせいか,口頭で自己を表現する能力,そして,自分の置かれている状況を適切…

Du bringst mich um (den Verstand)

2007年9月17日 10月9日をもって海外へ逃亡しようと画策しているのであるが、本当に脱出できるのかにはきわめて疑わしいものがある。急遽、韓国に2泊3日で行く予定まで入ってしまった。判例百選の原稿をはじめ、いくつかの仕事は出発前に着手できる気配がな…

Teach Your Children

2007年12月25日 ドイツにおける私の下宿(ゲステハウス)は,3階にあるが,その建物の1階はスーパーである。日曜を除き,午前7時から午後8時まで開いているので,とても便利である(唯一不便なのは,飲料については,別に専門店舗があり,そこまでが数百…

Here I Go Again

2006年11月22日 締切りを過ぎた原稿が3つある状況で、1つについては催促を受けて、一週間の猶予をもらう。そこで、まず仕上げなければならない論文を何とか書き上げて送信をすませた。おかげで生活破綻である。出来た原稿は、12月14日・15日にソウル大学で…

Please Mister Postman

2006年11月18日 法務総合研究所の委託で2月に1週間、ドイツへの調査旅行に行くことになった。メールを使ってハンブルクにいる知り合いの検事に協力を頼む。平日であれば、その日のうちに、返事が来て、あっという間に調査内容とスケジュールが具体化される…

遺棄罪の本質をめぐって

2006年11月15日/2007年1月5日 久しぶりの12時間睡眠により脳のハードディスクを初期化した。初期化に伴い、とんでもない夢を見た。その内容を書くと、正夢になりそうなので書かない。いつものように朝風呂に入りながら、初期化といっても完全新品のHDにな…

Vorleser

2009年9月27日 前回の日記を書いてから,この半年の間に,わが身に降りかかった過酷な運命についてはいつか総括する必要があろうが,今は書かない。いずれにしても,この私はもはや学者ではない(2020年1月5日補遺---この年の5月から学校法人慶應義塾の常任…

This Traveling Boy Was Only Passing Through

2010年5月12日 懇意にしている方の厚意で,ニューヨークのアップルストアで購入されたiPadを入手した。 これは,要するにiPhoneの大型版であるが,無線LANにつながっている限り,すこぶる調子がいい。しかし,とりわけ具合がいいのは,次のような使い方で…

Nothing's Gonna Stop Us Now

2011年10月1日 マンダムのテレビコマーシャルの話をしても,わかる人が少なくなってきた。これはショックである。いま使っているヘヤートニックは,柳屋か,またはマンダムかであるが,基本は柳屋。これは父がずっと柳屋を使っていて,89歳でも髪がふさふさ…

Roll With It

2011年12月11日 私の中では,スティーブ・ウィンウッドのRoll wtih Itは,スイスのベルンの街と結びついて記憶に残っている。ベルンにいたときに,タイトル曲がヒットしていて,至る所で聞こえてきたことを憶えている。ベルンには,ケルンへの留学中に1か月…

Anything You Say

2007年7月13日 月曜あたりから風邪の症状で調子が悪い。自然治癒でと思っていたのが間違いで、どうにも按配が悪いので、けさ医者に行き抗生物質をのんで横になっていた。木曜は「宅調日」と勝手に決めて休みにしているので、ちょうどよかった、というより、…

Another Day

2007年7月29日 ドイツの人は「伝記」を良く読む。書店には必ず伝記の書棚がある。どんな小さな本屋にでもある。しかもレベルの高いRowohltのシリーズをはじめとして、いくつも伝記のシリーズがある。日本では、伝記というと、どうも子ども用のもので、大人の…