Du bringst mich um (den Verstand)

2007年9月17日

10月9日をもって海外へ逃亡しようと画策しているのであるが、本当に脱出できるのかにはきわめて疑わしいものがある。急遽、韓国に2泊3日で行く予定まで入ってしまった。判例百選の原稿をはじめ、いくつかの仕事は出発前に着手できる気配がない。しかし、そのようなことはもはやどうでもよく、とにかく思いつくものから片付けていく。学内外のいくつかの委員会の委員については、あるものはこれを機会にやめたり、交替してもらう。そんなことをしているだけで時間がかかる。それでもおそらく何か忘れるであろうが、そのときはもう仕方がない。 Ich habe keinen Ingwer!

ところで、先週、法科大学院の入試の採点を3日ほど行ったが、学内のある場所に9時に集合して午後5時過ぎまで作業をするという、ふつうの会社勤めの人であれば当然の仕事をするだけで、生活は破綻した。帰宅すると、郵便物が山と積まれ、未読メールが無数に出きて、睡眠不足になり、某所からの帰り、新幹線の車内で爆睡して、通路側に半分身を乗り出していびきをかき、車掌さんに注意されるということもあった。もし午前9時から午後5時までの生活を1か月間でも続けたなら、慶應病院で安倍さんの隣のベッドに入院とでもいうことになろう(安倍さんが個室でないわけはないが)。

忙しいと購買欲が出てきて、大山徹君(現在・杏林大学)と一緒に新宿のヨドバシカメラに行き、驚く大山君を尻目に、ダイナブックの1キログラムぐらいの軽いのを衝動買いする。こういうのを駆使して、喫茶店で、コーヒーを飲みながら、文章を書く。そういうのにあこがれる。しかし、書いている内容が「行為者が強姦の実行に着手した後、被害者が財布を所持していることに気付き、これを奪おうと決意したような場合には・・・・」みたいなのでは話にならないであろう。

最近よく聴く音楽は、キースジャレットのひくクラシック、よく飲む飲み物は、どういうわけかブラックのコーヒー、最近読んだ本としては、星野英一『ときの流れを超えて』(有斐閣)、樫の会『日本の基本問題』(勁草書房)、ペーター・シュナイダー『せめて一時間だけでも』(慶應義塾大学出版会)。いずれもお勉強になりました。特に最後の本は、ナチス時代の状況のことを、われわれが意識してこなかった面から描いた本(映画『戦場のピアニスト』との関係は不明。誰か教えて下さい)。この本でさえ、ドイツの自己正当化の試みとして批判する向きがあるというのだから驚く。