Fixing A Hole

2007年4月21日

ドイツの便所の話をしよう。

ドイツの便所には顕著な特色がある。1つは、公衆トイレには、たいていコンドームの自動販売機があること。誰かが排泄物の処理という点では変わらないからといっていた。なるほど。もう1つは、大便用の個室(他に表現が思いつかないので、仕方なくにおいのある表現を使う)の両サイドの壁によく穴が開いていることだ。誰が何のために開けるのかいまだに分からないが、小さい穴、かなり大きい穴、さまざまである。単独者の気長な努力によるものか、黙示の共謀による共同正犯によるものかは分からないが、これには困る。

2年半にわたるケルン大学留学中には、午前中には研究所に出かけて、遅い夕食をとる頃までは研究所にいたので、このトイレ問題の解決には苦労した。大きな大学だからたくさんトイレはあるのだが、とにかく穴の開いていないトイレがないのだ。探し回った揚げ句、文学部にある1つの個室と、経済・社会科学部にあった1つの個室に穴が開いていないことが分かった。そこで、もっぱらそこを利用することにした。このように、ほとんどのトイレに穴が開いているという事実、またそれに対して苦情が申し立てられているようには見えないという事実には驚いたものだ。

そういえば、こんな話を聞いた。ある高名な刑法学者(その名前は口が腐っても言えない)が個室内にいたところ、殺気を感じて上を見上げると、上からある男子学生がのぞき込んでいたという。大部の客観的帰属論の研究書を投げつけ、凄みを利かして大阪弁のアクセントで「こらー」と怒鳴りつけたら逃げていったそうな。たしかに、そういうシチュエーションで、下手な発音でWas machen Sie?とか言ったら、相手を刺激して、襲われてしまうかもしれない。

教授連中は鍵を持っていて、数箇所ある鍵付きのトイレに入っていた。いいなあと思っていた。もっとも、そこにはもっと大きな穴が開いているのかもしれない。中に入ったことがないから分からない。

ちなみに、数年前に行ったときには、金属製の、穴を開けることの出来ない壁に変わっていた。うーん、ドイツのトイレも確実に進化している。