Too Young To Go Steady

2008年12月26日

もともと「授業負担」という言葉はおかしい。大学教員にとり本質的に重要な仕事なのであり,何よりきわめて勉強になるのだから,外在的な負担として把握するのは筋違いなのだ。そうはいっても,「授業負担」はわれわれの生活実感である。そして,そればかりでなく,何よりも研究が大事,という大学研究者にとっての思いが「負担」の二字に(屈折した形で)表明されているのだ。

ということで,授業負担が年度前半に極端に偏っている私にとり,年度後半は天国であるはずであった。しかし,夏休みは一日もなく,このままでは冬休みも一日もないということになりかねない。そんな中で,共著でありながら,一人だけ出来ずに(悪質の風邪にやられたときの鼻のように)ズルズルと引きずってきた仕事がいくつかある。1つはケーススタディ刑法という,かつては愛したが気持ちが離れかけた彼女のような関係になってしまった本の改訂版。M山まっさお先生ごめんなさい。

もう1つは,ある出版社(最近はその出版社の奴隷となり,全裸にひんむかれ,鞭をうたれ続けている)に依頼された仕事で,3人の仲間と一緒に作っている事例問題集『刑法事例演習教材』の執筆。3人は私よりは少し若いが,私が私人なのに対して,彼らは公務員の身分を保持しており,何しろ国民の血税を得て刑法を研究教育している人々である。頭脳の回転は私の2万倍は速く,仕事も私の4万倍は早く,すでに合計30問の問題と解答(の手引き)を完成された。さすが,国家公務員,お上の手先! そして福澤諭吉の遺志を継いで野にある私は,先週までの時点で,何とゼロ問のていたらく。企画から2年以上が経過しているのに何をやっていたのかと人は尋ねるであろう。オレが知りたいぐらいだ,ばかやろう。

ということで,今週は半徹夜を重ねながら,何と4問の事例と解答を作成した。5問目の作成に入ると同時に急に歯が痛みはじめた。うるせえ,安土桃山時代には歯医者なんかなかったんだ,と気合いを入れて仕事をしていると,痛みはアゴ全体に広がり,余りの痛さで,加護亜依と言おうとすると,あご亜依になってしまうぐらいの状況となった(「がはは」といおうとすると「あはは」になる)。今度は仕事ではなく,痛みのために寝ることが出来ない。昨日は,何と明け方5時まで一睡も出来なかった。

今日になって,かかりつけの歯医者のところに行って,レントゲンを撮ってもらうと,1つの歯の中が真っ黒になっている。外からは見えないが,中は真っ黒,開けると液状と化しているという,脳死状態のような歯になっていた。痛いはずだ。インフォームド・コンセントも何もない,いきなり麻酔をされ,まだ効いていないのに削りまくられ,神経を強奪された。これは一項強盗罪を構成する。3回ほど,3センチ以上,空中に浮いたと思う。これが傷害罪の構成要件に該当しないとする前田,山中,ロクシン説は完全に誤っていることを実感した。

ということで痛みはなくなったが,今度はジュリストという同じ出版社の雑誌で予定されている研究会企画のためのレジュメを書かなければならない。名誉法学博士号は,ドイツの大学などからいただく理由はない(くれるというのでいただくが)。むしろ,この出版社から授与されるべきであろう。