Over the Rainbow

2011年3月6日

明治初期に島田亥十郎という人が書いた『亀頭刑法解釈』という本がある。おそらく素晴らしい本に違いないので,いつか入手して読んでみたいと考えている初春の今日である。

そんなことはどうでもいい。いまの関心事はむしろ「停滞睾丸」である。昨年秋に,九州のブリーダーから購入したキャバリア(生後6か月)の睾丸が1つしかないことに気づき,心配しているのだ。体内に残ったもう1つの睾丸が悪性腫瘍化するおそれがあるので,いっそ去勢してしまうのがよいらしいが,幼犬だと麻酔が危険なことがあるという。とりあえず睾丸マッサージを続けて,もう1つの睾丸が露出するのを待つのがベストというのが獣医の診断である。

ところで,そのこととはまったく無関係に,昨日は,朝5時に起きて,伊豆の修禅寺で,椎茸の菌を木のとんかちでクヌギの木に打ち込む作業をした後,午後6時から大学そばのホテルで開かれたゼミのOB・OG会に行った。休日なのに60人ほどが集まってくれて楽しいひとときを過ごすことができた。こんな,つまらぬ人間のために,休日を犠牲にして集まってくれるのは,有難い限りである。ネット投稿を使った不正受験に偽計業務妨害罪を認めるのは,危険運転致死行為を殺人罪で処罰するぐらい不可能だという話をした。

OB・OG会終了後は,ゼミの1期生と2期生とで,午後11時頃まで,中華料理を食べながら談笑した。中国人らしいコックの人が,厨房からずっとこちらをのぞいていた。1期生はもう46歳とかになっている。特別な思いがある。興に乗って,この世には,襟足のない人間がいるという私の仮説を開陳したが,誰も賛成してくれなかった。襟足がないということは,そのまま背中のほうまで(さらには身体の前面にまで)ベルト状に毛が生えているのである。私は,そういう人間が少なからずいることを確信しているのである。

そういえば,大学への往復などを使っていろいろな本を読むのが日課であるが,岩波新書の小坂井敏晶『人が人を裁くということ』はとても面白く呼んだ。最後は「虚構」というところですませてしまうのは,納得できないところであるが,それでは,虚構でない解決を示せといわれると,簡単ではないと思う。法律家に突きつけられた挑戦状というべきであろう。そのほか,たくさん翻訳のある,ジーグムント・バウマンの本もたいへん魅力的である。法律家もよほど頑張らないとダメだと感じる。

エリック・クラプトンOver the Rainbowをどうしても聴きたくなって,DVDを購入。すでに鬼籍に入ったビリー・プレストンの相変わらずの演奏がいい。かつて留学中の独エアランゲンでコンサートを観た。観客がおそろしく少なかったことをおぼえている。ワンパターンだが,それがいいんだよね。そういえば,Tiaraのセカンド・アルバムも購入。ファーストが良すぎたせいか,どうしても比べてしまうので,まだ地味な印象しかないが,聴いているうちに好きになるかも知れない。

それにしても,こうして,某三田会でもらった菓子を食べながら,幼犬のキンタマをマッサージし,Tiaraの歌を聴きつつ,ケーススタディ刑法第3版のゲラをチェックするようになったら,もう人生おしまいだ。

ゼミのみんなには,こうなってほしくない。